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春日井市内の蝶の観察と写真、資料を掲載しています。

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<春日井市の蝶>

春日井市にいる蝶

〇春日井市の蝶相

多様な自然環境と自然環境破壊

 春日井市は愛知県の西北部に位置し、岐阜県と境を接している30万都市です。地形的には尾張東部丘陵と濃尾平野の接触部にあり、南側を庄内川が流れて、瀬戸市と名古屋市守山区の境を成してきました。東部には春日井三山といわれる弥勒山(標高437m)・道樹山(標高429m)・大谷山(標高425m)をはじめ400m内外の古生層山地が聳え、県境となっています。これより西側は200m以下の新第三紀丘陵ですが、内津川、大谷川などの河川によって、浸食され、さらにその西側は、段丘地形が発達し、六段の段丘面を形成してきました。西南部には庄内川の沖積氾濫原も見られ、市内最低標高11m(勝川橋付近)もこの地点にあります。このような地形の中で東部丘陵の古生層山地にはシイ、カシなどの自然林やスギ、ヒノキなどの人工林が見られ、築水池をはじめ大小のため池もあって、豊かな里山里地が残されてきました。そこに、東海地区特有の自然環境に依存した多様な動植物が生息していて、かなりの部分が愛知高原国定公園に指定され、保護されています。しかし、それより西側の新第三紀丘陵は、高蔵寺ニュータウン等の宅地、工業団地などによる開発が進み、自然環境が大きく変貌してきました。その中にも潮見坂平和公園やいくつかの社寺などに林地が残され、落合公園や朝宮公園といった大規模なものから中小の都市公園に一定の緑地があります。庄内川流域には広い河川敷が形成され、柳などの木々が生え、草地や畑地などが残されているところもあります。このような市域の中で、市街地・草原性の蝶、丘陵地の蝶、一部山地の蝶も生息していて、種数も結構多かったのですが、宅地化や工業団地の形成等により、自然環境が大きく変わり、減少してきている蝶も多く、一部絶滅したり、めったに見られない蝶も増えてきました。

市内で確認された蝶の変遷

 市内で今までに確認された蝶は、以下の表のように92種類ありますが、かつては市内にいたものの、近年絶滅したと思われる蝶が、ヤマトスジグロシロチョウ、ヒメヒカゲ、ウラキンシジミ、ミヤマチャバネセセリギンイチモンジセセリコキマダラセセリの6種、春日井市内にはいないものの、偶然に飛来し、過去に市内で確認例がある蝶がメスアカムラサキの1種あります。また、近年情報が途絶えている蝶が、スジボソヤマキチョウウラナミジャノメウラギンスジヒョウモンオオミスジの4種あるので、それらを除くと、81種(アゲハチョウ科12種、シロチョウ科6種、シジミチョウ科21種、タテハチョウ科32種、セセリチョウ科10種)となります。しかし、その中には、環境省のレッドリストに掲載されている絶滅危惧TB類(EN)のツマグロキチョウ、絶滅危惧U類(VU)のギフチョウ、準絶滅危惧(NT)のオオムラサキ、愛知県のレッドリストに掲載されている絶滅危惧U類(VU)のウラクロシジミ、準絶滅危惧(NT)のホソバセセリオオミドリシジミオオウラギンスジヒョウモンが含まれていて、なかなか見ることが出来ない蝶も増えてきました。

地球温暖化の影響と外来種の侵入

 一方で、地球温暖化等の影響もあって、南方系の蝶が北上し、かつてはいなかったものが、1980年代以降に市内に定着したものとして、クロコノマチョウツマグロヒョウモンムラサキツバメナガサキアゲハクロマダラソテツシジミの5種が上げられます。また、人為的な持ち込みや外来植物への付着などにより、外来種が市内で発見されたものとして、2006年以降のホソオチョウ、2013年以降のムシャクロツバメシジミ、2021年以降のアカボシゴマダラの3種がありました。尚、近年市内でも見られるようになった、ホシミスジは、食草であるユキヤナギコデマリなどが、山地から公園や庭などに植栽される際に、持ち込まれて定着するようになったと考えられ、人為的な地域移動の結果とされています。

春日井市の蝶の生息資料
春日井市の地域区分図
春日井市内の蝶の生息状況
蝶の名称 西部地域 中部地域 東部地域 私の市域総合評価
全種数 44種 60種 80種 81種
<アゲハチョウ科> 7種 9種 11種 12種
ギフチョウ
ホソオチョウ
ジャコウアゲハ
オナガアゲハ
アゲハチョウ
キアゲハ
クロアゲハ
ナガサキアゲハ
モンキアゲハ
カラスアゲハ
ミヤマカラスアゲハ
アオスジアゲハ
<シロチョウ科> 6種 6種 6種 6種
キタキチョウ
ツマグロキチョウ
スジボソヤマキチョウ
モンキチョウ
ツマキチョウ
モンシロチョウ
スジグロシロチョウ
ヤマトスジグロシロチョウ ×
<シジミチョウ科> 11種 15種 21種 21種
ベニシジミ
ウラナミシジミ
ヤマトシジミ
ルリシジミ
サツマシジミ
ツバメシジミ
ムシャクロツバメシジミ
クロマダラソテツシジミ
ムラサキシジミ
ムラサキツバメ
ウラゴマダラシジミ
ウラキンシジミ ×
ミズイロオナガシジミ
ウラミスジシジミ
アカシジミ
ウラナミアカシジミ
ミドリシジミ
オオミドリシジミ
ウラクロシジミ
コツバメ
トラフシジミ
ウラギンシジミ
<タテハチョウ科> 16種 23種 32種 32種
テングチョウ
アサギマダラ
イシガケチョウ    
スミナガシ
ウラナミジャノメ  
ヒメウラナミジャノメ
ジャノメチョウ
ヒカゲチョウ
クロヒカゲ
サトキマダラヒカゲ
ヒメジャノメ
コジャノメ
クロコノマチョウ
ヒメヒカゲ     ×
ウラギンスジヒョウモン
オオウラギンスジヒョウモン
メスグロヒョウモン
ミドリヒョウモン
クモガタヒョウモン
ツマグロヒョウモン
ウラギンヒョウモン
イチモンジチョウ
アサマイチモンジ
ミスジチョウ
コミスジ
ホシミスジ
オオミスジ
コムラサキ
ゴマダラチョウ
アカボシゴマダラ    
オオムラサキ
メスアカムラサキ    
キタテハ
ヒオドシチョウ
ルリタテハ
アカタテハ
ヒメアカタテハ
<セセリチョウ科> 4種 7種 10種 10種
アオバセセリ
ミヤマセセリ
ダイミョウセセリ
ギンイチモンジセセリ ×
コチャバネセセリ
ホソバセセリ
ヒメキマダラセセリ
コキマダラセセリ ×
キマダラセセリ
イチモンジセセリ
オオチャバネセセリ
チャバネセセリ
ミヤマチャバネセセリ ×
【私の調査・評価】●近年の自身または文献・資料での確認種、△近年の未確認種、×近年の絶滅種、?迷蝶(偶産種)
【絶滅した蝶】 かつては春日井市内にいたが、近年絶滅したと思われる蝶
<シロチョウ科> ヤマトスジグロシロチョウ
<タテハチョウ科> ヒメヒカゲ
<シジミチョウ科> ウラキンシジミ
<セセリチョウ科> ミヤマチャバネセセリギンイチモンジセセリコキマダラセセリ
【迷蝶(遇産種)】 春日井市内にはいないのですが、偶然に飛来し、過去に市内で確認例がある蝶
<タテハチョウ科> メスアカムラサキ

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